村進行中だと、自分の村とダブったりするんだろうか

 ゲルトを埋葬した村長が、神妙な顔で話を切り出した。
「正直、かなり凄惨な状況だと言わざるを得ないな。あれを人間がやったとは考えづらい」
「でも…ここは、宿の中よ。獣が入ってくるなんて考えられないわ」
「うむ…やはり、人狼は実在すると言うことなんだろうな。能力者である私ですら信じられなかったが…」
 まぁ、能力者であるということすら、夢かもしれないから信じられないのも無理は無いかも…
「そこでだ、対抗手段というわけではないが…」
 村長さんはとても言いにくそうに、話し出した。
 かいつまんで、内容だけを述べるなら。みんなで投票して選ばれた人を処刑するというものだった。
 人間かもしれなくても、犠牲者が増える一方よりはましと言うことだろう。
 処刑するのが一人だけなのは、できるだけ処刑したくないことと、無為に混乱を招くからだ。
「とりあえず、一通り全員の声が聞けたということは、トーマスは白確定でいいということだな」
 そういえばそうだった。これで、村にとっては人間とわかっている人物が増えたわけだ。
「今日の占い希望と、処刑の希望も考えておいてくれ。私は能力者の名乗り出るタイミングについて考えてみる」
 それで、朝の集会は終了になった。
 ちなみに、今更余談だけど、朝の集会は食堂ではなくロビーで行った。まぁ、ある意味当然だけど…
 村長さんは考えておいてくれって言ったけど、やっぱり処刑を考えるのは気が重いなぁ…
 しかも、人狼が実在することが発覚した以上、安易に人には頼れないと言うことだ。
 実のところ、私はこれが一番堪えた。
 あんまり、人に頼ってきた実感はなかったけれど、随分と助けられていたことを痛感していた。
「はぁ…なんだか憂鬱」
 誰かと会う気分にもなれずに、部屋に戻ると、私はため息をついた。
 村の人を処刑する投票をすることもそうだけれど、それに加えて、今日の寝覚めの悪さ。
 色々な意味で、気分が滅入ることばかりだった。