駄文にも伏線らしき物が…考えて書いてないけど

「うむ、みな集まってくれているようだな」
 村長さんの言うとおり、みんな揃っていた。
 もっとも、ゲルトは寝ているのだけど…ひょっとして、朝から寝てたんじゃ…
「さて、話し合いといっても、私の把握していることは、朝の分で全てだ」
 そう、村長さんが切り出す。まぁ、そうよね。
「そこでだ、居るかどうかはわからんが、最悪の事態を想定して対策を考えようと思う」
 最悪の事態――まぁ、当然そういうことになるのだろう…
「最悪の事態というと…つまり、村長さんが人狼だったら…ってことも想定するわけですか?」
 旅人さん――ニコラスと言ったか、がそう言った。
 考えたことも無かったけれど、そのとおりだと思った。
 村長さんが人狼だったら、いい様に議論を進められてしまうのではないだろうか…
「うむむ…確かにその懸念はもっともであるな」
 村長さんは心底困ったような顔で答えた。
「要するに、信頼に足るまとめ役が必要ってことか?」
 トーマスがそう言う。それが1番最初の議題になりそうだった。
「占いで人か人狼かわかるんだよね。だったら、占いで人と出た人に任せればいいんじゃない?」
 早速ヨアヒムが提案する。
「だが、占いの結果が出るのは明朝のようだ。誰を占うかを決めるのはどうするかと言うのが問題だな」
 村長さんが、その案の問題点を指摘する。
「そんなの、占い師が決めちまえばいいんじゃねぇの?」
 ディーターが昼間言っていた通りの提案をする。
「いや、それだと、誰が占われたかわかりませんよね」
 神父さんが反論する。
「明日になったら、誰を占ってたか言ってもらえばいいじゃんよ」
 ディーターはさらっとそう言ってのけた。
「ううむ…しかし、人狼側が黙っているだろうか、もしも人狼側が自分が占い師だと言ってくれば見分けがつかんぞ」
 村長さんがそう言い、ディーターがしまったという顔をする。
「騙りってこともありえんのか…別のヤツ占ってたと言われると厄介だな…」
「それじゃあ、多数決を募って占い先を決定するというのはどうでしょう?」
 行商人さん――アルビンがそう提案する。
「例え、人狼が組織票で仲間に占いが当たらないように仕向けても、人確定すればまとめてもらえます」
 さらに、補足を入れる。
「ふむふむ…だが、誰が占われるかわかってたら、襲われやしないか?」
 トーマスがそう懸念をあらわした。
 確かに、誰が襲われるかわからない状況では、当然の懸念だった。
「それは、狩人って言うのが守ってくれるんじゃないかな?」
 ヨアヒムが、横から懸念に対して答えた。
「おお、そうか、だったらそれが1番じゃないか?」
 色々な意見が出ては消えていく。万能の方法なんて無いんだから仕方ないとは思うけど…


「ねぇ…ちょっと、いいかな?」
 ああでもない、こうでもないと言っている時に、私は声を出した。
 視線が集まり、みんなが私に注目する。
「どの方法にもメリット・デメリットはあると思うの…」
「ふむ、それで?」
 言葉を切った私に、村長さんがそう促してくれる。
「うん、だから、あんまりこうやって方向性が決まらないのは、良くないんじゃないかと思ってね」
 そこで私は、私に話を促してくれた村長さんに向き直る。
「能力者についてなんだけど、共有者というのが私よくわからなかったのよ。それを聞きたいと思って…」
 そう、互いを共有者と知ると言うその能力はの質が、イマイチ私にはわからなかった。
 占いの話が議論になった時に、寝る直前最後に考えていた疑問に思い至ったのだった。
「共有者というのは、2人1組で互いを共有者と知ると言うものだ、無論共有者は人間だ」
 村長さんが、朝してくれた説明を繰り返してくれた。
「それだけ?」
「うむ、それだけだ」
 疑問はそこだった。他の能力に比べて、随分と直接性が少ないと思うのだ。
「それって、どんな利点があるのかしら?」
「うむ、とりあえずは、占いに頼らず人間確定できることだな」
 しかし、それは占い師と同様のことが起きるはずだ。
「でも、騙りが出たら、それまででしょう?」
「そうなったら、共有者相方を指定してやればよい。相方も騙られたら――」
 そこで、村長さんは咳払いをして。
「失敬、相方も騙られたら、その4人の中に2匹は人狼がいると言うことだ」
 村長さんは、朝も持っていた本のページを捲ると、話を続けた。
人狼は3匹、人狼の協力者は1人とある。人狼の陣営は合計4人と言うわけだ」
 そこで、私は村長さんの言わんとすることを理解した。
「つまり――仲間の半数を使うだけの利点が無い?」
「うむ、そういうことだ」
 村長さんは、満足そうにうなずいた。