う…ちょっと眠…
人狼が居て、能力者も居ると仮定して――
言葉にするととても簡単だけど、実際に想定するのは難しいと思う。
なにせ、実際のところ、どういうものか全くわかってないからだ。
まず、今のところ被害と言えば羊が襲われたと言うこと。
カタリナだって居たはずなのだから、襲われたのは深夜だと思う。
それが、そのまま人間にも当てはまるかはわからない。
ただ、村長さんが分けたこの中に、居るとすれば人狼が居るはずなんだと思う。
どういう、理屈かはわからないけれど、該当する人物を集めたと言っていたから、そういうことなんだと思う。
と、なれば昼間姿を表すことはできないのだろう。
そんなことをすれば、自分が人狼だと露呈してしまう。
人狼の強みは、占い師と霊能者にしかその正体を知るすべがないと言うことなのだから。
また、理由はわからないけれど、姿をさらして村人を襲うことはできないらしい。
理由は簡単、それができるなら、まどろっこしいことはしないで、村を壊滅させてしまえばいいからだ。
その辺りを踏まえると、人狼は深夜に人を襲う可能性が高いと思う。
…で、その襲撃から村人を守れるのが狩人なわけね。
狩人は一人…だから、守れるのも一人。誰を守るかは狩人が決めるのよね。
そして、占い師は一人占って、人狼か人かを知ることができる。
当然、人狼にとって、とても邪魔な存在だと思う。
なんとかして、襲ってしまいたいはず。
そう考えると、ディーターの言うように、黙っていてもらったほうが安全なのかも…
あ、でも、占い先は自由でなくても、こちらから伝えて占ってもらうって手もあるわよね。
そうすれば、人狼でなければ黙っていると決めれば、結果を言わなくても人かどうかわかるしね。
だったら、それが一番なんだろうか…
でも…人狼から見えないって言うのは、狩人からも見えないのよね。
名乗り出てもらえば、人狼に目をつけられる分、狩人も守りやすいかも…
これが、レジーナが言ってた。名乗り出てもらっても良いかもね、って事か…
「うーん、結局…何が良いかはよくわかんないわね…やっぱりその辺りから決めていったほうがいいのかも」
――他に考えることは…
……
…
「……ラ…メラ。…パメラってば!」
「…? ヨアヒム…?」
私を呼ぶ声に、ふと顔を上げると、ヨアヒムが私の肩を叩いていた。
「パメラ、こんなとこで寝てたら風邪引くよ?」
こんなところって…?
言われて見回すと、そこは宿のロビーにしつらえられたテーブルだった。
そういえば、食堂を出て、考え事をするのに、ここに来たんだっけ。
はて…考え事をしてたはずなのに、なんで私は起こされてるんだろう?
「それにほら、そろそろ夜の集会の時間みたいだよ」
ヨアヒムはそう言って、人が集まりだした食堂を指差した。
「あ…うん」
私は何か釈然としないものを感じつつ、食堂に移動した。
まぁ、要するに考え事の最中に寝ちゃったってことなんだろうけど…