どこでオチるか、わかりませんが

 ――ザワザワ――
 カタリナの言葉に、村人たちは少なからず動揺しているようだった。
「うむ、つまりはそういうことだ」
 村長さんがうなずきながら、言葉を継いだ。
「獣とは思えない手口と、人とは思えない惨状…近隣の噂と総合すると、おそらく人狼の仕業だと判断した」
人狼といえば人を襲うという――」
「人間のフリをしているという話だが――」
 村長さんの言葉を受け、口々に噂話が広がっていく。
「ところで、どうしてこのメンバーが集められたの?」
 そんな中、私はふと浮かんだ疑問を口にしていた。
 よくよく考えれば、村人全員ではなく、この15人が呼ばれたのは何か意味があるのだろうか?
 周囲の視線を感じながら、私は村長さんの答えを待った。
「うむ、実はそのことだが、村人を15、6人ほどのグループに分けておる」
 返ってきた答えは、やや端的だった。続けて村長さんは説明をしてくれた。
「幸いにというわけではないが、いまだ人的被害は出ていない、そこでグループ分けをして様子を見ようと思う」
「…つまり、相互監視をするってことかしら?」
 私の単刀直入な物言いに、少し村長さんは顔を曇らせた。
「まぁ…嫌な言い方をすれば、そういうことだな」
「了解、ある意味納得が行ったわ」
 つまり、それで、極端に近しい関係のものが居ないのだろう。
「と、いうわけでみなには多少制限を受けてもらうことになる」
 村のみんなは、しぶしぶといった感じで、うなずいていた。
 まだ、羊が襲われただけ――そう考える人も居るかもしれないが、カタリナの手前口には出せないだろう。
 正直、旅人さんたちは、運が悪かったとしか言いようがないけれど…
「申し訳ない、私や商人さんには、村をさっさと出て行くという選択肢もあると思うのだが――」
「そうですね、もしも我々が人狼なら、それで問題は解決かと思いますが」
 旅人さんと商人さんが、口々にそう言った。
「うむ、しかし"諸君らが人狼だったら"人狼を野放しにすることになる。それに賢しい人狼に利用されるかもしれん」
「そうだね。ひょっとしたら、旅人さん達が人狼だったら――と思わせてってあるかもしれない」
 村長さんと、ヨアヒムがそれぞれにそう言った。
 ヨアヒム、結構考えてるのね(我ながら、酷い物言いだわ…)
「ともかく、今日のところは、それを伝えるのが目的だ。具体的には様子を見ながら考えようと思う」
 そういって、村長さんは会議を締めた。
 まぁ、解散といっても、このグループはこの宿屋で寝泊りすることになるのだけれど。


 そして、その日の眠りの中、私は一つの夢を見た――