いっそのことザクザク喰ってしまうか…

 結局、特に方策も思い浮かばないうちに、村長さんが戻ってきた。
「すまない、みな待たせたようだな」
 みんな、一様に不安そうな顔で村長さんを見ている。
 それはそうだろう。いきなり処刑が告げられるかもしれないのだから、私だって怖いし。
「処刑投票の結果だが、多数票でアルビンくんを処刑という事になった」
 それを聞いた途端に、部屋中に安堵の空気が広だった。
 当然、一人を除いて…
 その一人――アルビンは、真っ青な顔で、村長さんに詰め寄ると。
「そ、そんな…私も人狼の話は噂で聞いた程度なんです。だから、そんなに詳しく話ができなくて…」
「うむ、私も残念だとは思うが…君は、希望を絞りきれていなかったりと、積極性に欠けてもいるのだ」
 そういう着眼点もあるのね…というか、他人の希望なんて気にしてなかったわ…
 積極性云々だと、カタリナのほうが欠けてる気もするけど…
「ただ、もしも君が占い師や霊能者なら名乗り出てほしいと思う」
「いえ…私はそのどちらでもないですが…」
 村長さんは残念そうな面持ちで、頭を振った。
「そうか…それでは残念だが…」
 おそらく、無駄だと悟ったのだろう、アルビンも項垂れると席に戻った。
「さて、次に占いだが…これは私の独断だがヨアヒムを占ってほしいと思う」
 ふむ? 確か占い希望は私やディーターが多くなっていたようだったけど…
「理由としては、占いの希望も投票もアルビンくんを外していたからだな。アルビンくんを疑っていたようなのにだ」
 確かにヨアヒムは発言でアルビンやニコラスを疑わしく感じていたようだった。
 それでいて、外しているなら、確かに気にはなるところかもしれない。


「ちょ、ちょとまって!」
 ガタンという音とともに、ヨアヒムは立ち上がると制止の声をかけた。
「ヨアヒムか…なんだね?」
「う、うん、黙ってたけど実は僕は――」
 そうして、ヨアヒムは衝撃の事実を語った。