だーらだーら

暑いですねー
「あーつーいー」
 目の前で机に突っ伏しながら、沙雪がそう言った。
「夏なんだから暑くて当然だと思うが…」
「うー、そうだけどー」
 沙雪の透けるような白い肌も、やや赤くなっているようだ。
 不謹慎な話だが、ゆでダコみたいだなと思ってしまった。
「大体、暑い暑いと言っていても、何が変わるわけでもないだろうに」
「ううううう…ソラちゃんは平気なの〜?」
 急に話を振られた魅空は、それでも普段どおりの態度のまま、
「それは暑いですけど…あまり暑い暑いと言っていると余計暑いですから」
 と、しごくまっとうな事を言った。
 まぁ、そんな言葉がお気に召すとも思えないが……
 そもそも、私から見ても魅空が暑がってるか疑わしいくらいだ。
「そんなこといっても暑いんだもん」
 そう言いきる沙雪に対して、魅空も苦笑を浮かべるばかりだ。
「大体、なんでうちのガッコには、冷房ないんだよぅ」
「予算がないとかじゃないのか?」
 即答で返す私を、沙雪はジト目で見返して、
「うちって私立のいわゆるお嬢様ガッコじゃん、お金ないとかないよぅ」
 そういわれればそうだな。沙雪や私はともかく、他の生徒は大体良家の令嬢だ。
「あれじゃないか、良家のお嬢様ってのは体温調節くらいデフォとか」
 冗談めかして言う私に半ば呆れつつ、魅空が結論を言った。
「まぁ、本音はともかく建前では、機械に頼らないってことみたいですね」
 そんなことを言っていたような気もする。
 まぁ、わかったところで嬉しくもなんともないが…
「……」
 絶望を感じたのか、沙雪はとうとう口も利けなくなったようだ。
 まぁ、これも平和な一日というものなんだろう。






なんとなく書きたくなって書いてしまった…